IT大手F社の研究員「効率良い方法があるのに古いやり方を変えられない」

やはり日本のITは酷い。

 

大手社員が語るガッカリな実態

私が通っている大学の、ある日のこと。
特別講師として現役のIT業界人が呼ばれて講演した。
日本のITゼネコンのトップ層に位置する、F社の研究員だ。
大雑把にこんな内容だった。

  • セキュリティには気をつけるべきだが、予算との兼ね合いで完璧にはならない。
  • UMLを使い、スパイラルモデル や アジャイルの開発手法を用いると
    効率が良く理想的だが、
    現実には誰も昔のやり方を変えようとしないので、
    UMLも使わず、開発はウォーターフォールだけだ。

言葉の意味については、以前書いた記事
ITの開発手法を旅行に例えるとこうなる
を参照して欲しい。

セキュリティはまあ、完璧を求めるとキリがないし、仕方ないとしよう。
しかし後者は何だ?これがトップ企業だというのか?

IT業界は変化が速く、5年も経てば包丁が石器に見えるほど開発手法も進化する。
だから古きに固執するほど不利になるというのに、何をやっているのか。

がっかりした私は、質疑応答でこう反論した。

「効率良い方法があるのにそれをしないだなんて、とても納得がいかない。
例えばUMLが国際規格になったのは8年も前だ。
有効な技術を前に、8年間も目を背けているというのか?」

F研究員は苦しそうな顔で「その通り」と認め、こう語った。

F「私も良くないとは思っているが、大企業ならではの政治的問題がある。
技術が風化しているにもかかわらず、今までのやり方を変えたがらない。」
「それでは市場の競争で不利になるだけではないか。」
F「それでも、企業の構造が変化を許さない。
今のやり方に強く反発し新手法を提案した社員がいたが、消されてしまった。」

別の聴講者 Aも反論する。

A「こんな状況で、どうして会社が駄目にならないのか?」
F「うちの会社にはカネがある。これが強みだ。
数百億円規模の案件なんて、普通はリスキーすぎて受けられない。
でもウチなら、万一それで赤字を出しても
すぐさま会社が傾くわけではない。
リスクを受け持ち、仕事を分割することで他社に仕事を回せる。
それがゼネコントップの意義だ。」

他にもいろいろあったが、
結局F社が新しい技術に手を出すことはないようだ。
カネしか強みがないなら、
技術系なんて辞めて投資事業でもしてれば良いのに。

良い大学卒の優秀な人が、
石器を使うように効率の悪いやり方で仕事をし続けていると思うと
ゾッとする。
それでいて潰れないのだから、
ライバルの大企業も大差ない状況だろう。
一方で優秀でない人は孫請け社員として、ブラック企業の使い捨てにされる。
それがITゼネコンの実態なのか。

 

容易く棄てられる技能

では、僕らはどこで創造性を発揮できるのか?

優秀になり大企業に入れば、
古びた社内構造に閉じ込められ、学びのない毎日。
優秀とは程遠い、古くてくたびれた人間に転落する。
昔なら「それでも雇ってくれるなら良い」と考える人が多かったろうが、
今は終身雇用など期待できない時代だ。
能力を失えば、いつ無職になってもおかしくない。

一方大企業を諦め下請け・孫請けに入れば、
ブラックの餌食になり、鬱を発症し捨てられる。
能力を発揮するどころか、仕事すらままならない。

日本のIT技術者の能力が有効活用されることはないようだ。

結局、日本のITゼネコンの内部に居る限り、
僕らの創造性は必ず無駄にされる。棄てられる。
希望なんて、ない。

 

情報系学生の未来

だから、私はITゼネコンの外を目指したい。
請負ばかりでなく、自分で新しいサービスを創るような、挑戦心・冒険心ある企業に関わりたいと思う。

そう考えた私は、質疑応答の最後で暗い声でこう皮肉った。

「なるほど、ありがとうございました。
大変、進路の参考になりました。」

教員たちの失笑をかったところで、講義は終わった。

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